研究概要 |
本年度は、芸術系ワークショップとして、演劇ワークショップを2回(教員養成課程の学生19名、現職教員32名)、実施した。加えて、2010年2月~5月にボストンにて、教員養成過程カリキュラムについて、研修事情を資料入手すると同時に、インタビュー調査した。現在までにわかったことは以下の通りである。 1) 演劇ワークショップの結果を両グループで比較した結果、興味深かったのは、自分の身体のことを知ることの重要性について、5段階尺度評価で、教員>学生という有意傾向が見られたことであった。 2) 身体、言葉、呼吸などを扱う演劇ワーックショップの関心は、教員>学生という有意傾向が見られ、関心の高いことがわかった。 3) 共通して、演劇ワークショップへの関心、興味は4.8(学生),4.7(教員)と非常に高く、役に立つ(4.7,4.6)という評価は共通して高かった。 4) 自由記述においては、当然のことながら教員は、授業、児童生徒とのコミュニケーションという観点で有効性を指摘し、今の自分の伝え方の拡張に関心を持つコメントが多く、一方学生は自分の伝え方の工夫に関してのコメントが多かった。 5) 米国の教員養成カリキュラムは、共通する内容はあるものの、原則的に各州が個別のカリキュラムを設けており、例えば、マサチュウセッツ州のカリキュラムでは、メディア表現、メディア利用というものの重要性は記述されていることと、ボストン地区近辺に各学校にはMedia specialistがいて、指導、相談に当たるというシステムは、特徴的であった。 以上のことから、「伝え合う」ことの素地として、言語だけでなく、身体表現、呼吸といった分野の訓練が教員養成課程で扱われるべきであるとの結論に至った。
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