研究概要 |
本研究の目的は,北米日本人移民二世の日本留学体験に大きな影響を及ぼすと想定されるジェンダー、宗教(キリスト教、仏教)、年齢(初等教育年齢、中高等教育年齢)、地域(東京と移民県:和歌山、熊本、沖縄)が実際にどのように留学体験を規定していくのかを考察することで,日系二世が日本で体験した「越境性」の意味合いを検討するところにある。 本年度は,ジェンダーについては物部が熊本の九州女学院を,宗教については小島と物部がそれぞれ龍谷大学(仏教系)と九州女学院(キリスト教系)を,年齢については吉田(和歌山の太地町小学校)・小島(龍谷大学)・物部(九州女学院)を,地域については吉田(和歌山)・物部(熊本)・小島(京都)・野入(沖縄)に関する事例研究の基礎的な資料調査をおこなった。それぞれの調査を踏まえ,8月開催の研究合宿で報告会及び討論会を行い,4つのキーワードについて総合的に検討し,その有効性を確認した。 現段階では,日本に留学した日系二世を受け入れた学校側の視点からの調査である点に限界があるとはいうものの,それぞれの学校のもつ宗教観・ジェンダー観・対象学年や地域的特徴が,二世の学習実態に及ぼした影響があることが判明した。
|