研究概要 |
本研究の目的は,北米日本人移民二世の日本留学体験に大きな影響を及ぼすと想定されるジェンダー、宗教(キリスト教、仏教)、年齢(初等教育年齢、中高等教育年齢)、地域(東京と移民県:和歌山、熊本、沖縄)が実際にどのように留学体験を規定していくのかを考察することで,日系二世が日本で体験した「越境性」の意味合いを検討するところにある。 本年度は,物部が熊本の九州女学院への二世の留学に介在した移民協会の役割を調査し,移民地と留学先の学校をつなぐネットワーキングの重要性を指摘した。小島氏は龍谷大学を中心とする二世仏教徒の留学が実体化した背景にある移民地の事情を現地調査し,それと二世の留学に対する動機付けの関係についてまとめた。野入氏は沖縄に留学した二世が帰国後に結成した二世県人グループに,留学体験がどのようにかかわっているかについて現地調査の成果をまとめた。吉田は太地町およびその近隣地域に留学した二世の実態について,小学校所蔵文書をもとに整理し,その特徴をまとめた。 本年度においては,移民地のニーズが二世留学に及ぼす影響について一定のまとまった成果があがった点は,評価すべきであろう。過去2年間の研究蓄積を踏まえ,次年度は最終報告書を作成する予定である。
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