今年度は、敗戦直後から1949(昭和24)年の新学制の完成年度までを研究対象とし、各地方から創刊された教育関係雑誌や新聞が、いかなるニーズによって創刊され、その隆替はどうであったのか、また、各誌が、どのような教育情報を掲載し、伝えようとしていたのか、教育関係雑誌や新聞の史料収集と書誌的分析を行いました。 なかでも、国立国会図書館憲政資料室に通い、同資料室に所蔵されているプランゲコレクションの中からこれまでに収集できなかった地方から創刊された教育関係雑誌の史料収集を行うとともに、個別雑誌の書誌的分析をすることができました。収集した史料をもとに「かわら版」(近代日本教育史料研究会)に原稿を発表しました。 また、調査を重ねるうちに、実業之富山編集部『占領期の地方雑誌 プランゲ文庫で辿る検閲の足跡』実業之富山社 2007年に出会い、多くの刺激を受けました。占領下の日本は、すべての出版物がGHQの検閲の対象になりましたが、「百花斉放という相応しく雑誌文化が花開いた時代」でもあり、検閲と雑誌文化の興隆という相反する動きが見られる時代であったのではないかと思います。 さらに、所属大学から特別研究費をいただくこともでき、占領期の児童雑誌の調査も実施することができました。なかでも、戦後いち早く創刊された『ぎんのすず』の創刊号が、広島市立中央図書館に所蔵されていることがわかり、『ぎんのすず』の書誌的分析を行いました。創刊号には、子どもたちに原爆に関する記事に墨を塗らせた跡も見られ、いかに情報が統制されていたかを見ることができました。 近い将来、占領期における児童雑誌を含めた教育関係雑誌の基礎的研究をまとめていきたいと考えています。
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