研究概要 |
本研究は、地方分権改革によって進展しつつある自治体行政の総合化のもとで、子育て・教育行政にいかなる再編が生じているかを調査することを通じて、その成果と今後の課題を明らかにし、教育・保育、雇用・労働、福祉・保健・医療など、各行政分野の連携を図った総合的な子ども行政システム構築のための基本的視点と条件を提示しようとするものである。本年度は、「総合的な子ども・青年行政システム」構築に向けて行政機構の再編と、分野間連携を進めている自治体として、高知県と北海道芽室町の調査を実施した。 (1)高知県橋本県政では、第2期より土佐の教育改革が開始され、それから幼保窓ロー元化が派生して幼保支援課を設置し、保育の充実に成果をあげている。また県教委生涯学習課は、サポートステーションと連携して高校中退者の対応策を開発している。一方、知事部局に設置された子ども課は、知事部局→教委→知事部局と配置が変遷する中で、企画調整機能に特化し、2009年度からは少子化対策課に再編されることとなった。 (2)北海道芽室町2006年に子どもの権利条例を制定し、また子育て支援課を設置した。この行政機構再編により、保健活動は活発化したが、学校教育との連携は不十分なままにとどまっていた。 いずれも子育て行政をより包括的に再編していこうという取り組みが見られ、行政活動の一定の充実が図られたが、知事部局,教育委員会間の溝、実施レベルの事務単位の自立性、国から降下する大きな事業の存在などによって、実はそれほどの総合化は進展していないことが明らかになった。
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