本研究は、シュタイナー学校の教員養成システムの在り方の研究を通して、我が国の喫緊の課題である教員養成教育の質的改善に寄与することを目的としている。3年継続の研究の2年目にあたる今年度は、今年度当初に提出した「研究実施計画」に基づきつつ、また新たに明らかとなった研究課題にも対応して、研究を着実に遂行した。主な研究内容とその意義・重要性は以下の通りである。 1)マンハイム自由大学の訪問調査の実施 ドイツにおける代表的なシュタイナー学校の教員養成機関の一つ、マンハイム自由大学を訪問調査し、シュメルツァー博士及びペツォルト教授へのインタヴュー、授業観察、関連資料の収集を行った。特に、この調査で入手することができた、同大学の「大学」としての認可申請書類は、シュタイナー学校の教員養成の理念・カリキュラム・組織体制を解明する上での貴重な資料となった。また、この訪問調査を通して、シュタイナー学校の教員養成機関(特に大学)が、欧州諸国で展開中の「ボローニャ・プロセス」に伴い、大きな再編の途上にあるという新たな知見を得たことも大きな成果であった。 2)1年目と2年目の研究で入手した資料に基く研究論文の作成 これまでの2年間の研究で入手した基礎資料に基づき、「シュタイナー学校の教員養成システムに関する研究-歴史的展開とボローニャ・プロセスに伴う再編-」と題する研究論文をまとめることができた。本論文は、管見の限り、シュタイナー学校の教員養成システムの歴史的展開と現在の再編に関する最初の本格的論文であり、研究上の大きな意義を有するものと考える。
|