研究概要 |
本研究は,震災等により物的・心的に打撃を受けた地域において,地域コミュニティの再生による復興に向け,当該地域の教育委員会は,住民間の「つながり」の復活・強化のためにいかなる社会教育事業を展開することが期待され,また日常の活動において取り組んでおくことが望ましいかを,(1)地域住民を対象とした調査と,(2)復興のための公民館の取組みを通じて明らかにし,もって被災地域のコミュニティ再生に貢献しようと意図する研究である。 研究の最終年度の平成22年度は,地域住民の学び,集い,そして「つながり」形成の拠点としての役割が期待される公民館と当該施設での社会教育事業について「元気な地域づくりのための公民館の『底力』に関する調査」を行い,研究課題として設定した「地域コミュニティ再生のための社会教育事業のあり方」についての総括を行った。調査において,被災した地域の住民は,公民館の活動や公民館職員,公民館の役割などに関する「公民館は地域になくてはならない」,「職員はとても親切である」,「元気な地域づくりに役立っている」など40項目中,16項目において9割以上が「かなりそう思う」「そう思う」と回答するなどかなりの割合で好意的な評価を行っていた。 地域において長きにわたり,地域住民とともに歩む公民館活動,地域住民の福祉の向上や学びの機会の保障など地道な活動を継続してきたという歴史の歩みがこうした評価につながったものと思われる。過疎と少子高齢化が急速に進む能登半島で起こった「能登半島地震」以前も以後も,地域住民どうしの励まし合い,支え合い,その基盤となっている地域住民の「つながり」「絆」形成に,地域コミュニティの学習と教育の施設である公民館及び職員の存在並びに公民館で展開されている社会教育活動が大きく寄与しているものと思われる。
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