本研究は、中国の教育バウチャーを対象として、その政策動向、実態さらにその効果について、現地調査を主として実証的分析を行った。その結果、中国大陸における教育バウチャーはその数も多く種類において多様であるが、教育バウチャーを「個人を基準とする公教育費の配分方式」ととらえたとき、低所得者の児童・生徒への補助効果、私立学校の活性化などに有効であったと分析できる。しかし、一方、台湾における保育バウチャーに関しては、その目的にある学校選択の自由化など社会効果に関しては、成果を検証されず、一定の制度もしくは政策の見直しが課題であることが分析できた。以上のことは、今後の日本の教育バウチャー導入における先行的な知見を与えるといえる。
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