研究課題
本研究では、大学4年間でどのような専門的資質能力をもった幼稚園教員を養成すべきかについて、実習指導に関わっている全国附属幼稚園教諭や公立幼稚園教諭を対象に質問紙調査を行い、それを手がかりにして本学が目指す幼稚園教員養成の到達規準(スタンダーズ)を作成することを目的とした。方法としては、まず、本学教員、全国附属幼稚園教員、公立幼稚園の実習指導教員、約100名を対象に「4月に幼稚園教員になることを仮定した場合に、学生が卒業時までに幼稚園教員の資質能力としてどのようなことができる必要があるか」という問いについて自由記述で回答する質問紙調査を実施した。つぎに、第一次調査から作成した調査項目を用いて、幼稚園教員養成に携わる全国の国立・私立の大学教員、全国の国立附属幼稚園教員、公立幼稚園教員、私立幼稚園教員、計1,500名に対して「幼稚園教員に就く際に新任教員に求められる専門的資質能力」の必要度を4件法で回答する質問紙調査を実施した。分析では、(1)4件法のうち「非常に必要」と「かなり必要」に回答した割合が50%以上であることと、(2)2.5を検定値として1サンプルのt検定によって0.5%水準以上で有意差が認められることを条件として項目を抽出した。抽出した項目に因子分析を施し、養成段階で身につけるべきコンピテンシーの観点から分類し直して、構成されたスタンダードを関係文献から理論的に裏付けた。その結果、51項目を抽出し、幼稚園教員養成スタンダーズとして、「幼児理解力」「幼児への指導・援助力」「保育内容の展開力」「保育企画・計画力」「保育評価力」「教職の基礎的遂行力」「職能向上力」「保護者・地域等との連携力」の8つを策定した。全国規模の調査に基づいて策定した幼稚園教員養成スタンダーズは、本学だけでなく、全国の幼稚園教員養成大学に関わる関係者が教員養成において活用できるという意義がある。