第1年次は、全国学童保育連絡協議会(東京・本郷)への聞き取り調査、ならびに、大阪、鳥取における地域学童保育の現状踏査を実施した。また学童保育関連の先行研究を分析することにより、今次研究の研究仮説を策定した。 その内容は、日本の子どもの放課後空間はここすこぶる狭小化しており、子どもの多くは、家庭内あるいは学習塾、習い事に収容されており、従来からの少年期の発達ラインと異なる課題を抱えだした。したがって多くの子どもが、いわゆる「中間世界」(地域生活)を経験しないで思春期を迎える。その結果、「新たな思春期の課題」=「関係性の喪失」現象をもたらすのではないか。【順仮説】 対人不安、ひきこもり、突発的攻撃行為などが顕著にみられるが、しかしながらこのようなマイナス状況とは反対に放課後の「中間世界」の再構築の動向も見られる。【対抗仮説】その一つが学童クラブの拡大である.もう一つが昨年度スタートした「放課後子どもプラン」による全児童型保育である。これら二つの異種の空間が子どもの生活意識や生育にどのような影響を及ぼしているのか。異なる空間における指導員の「プログラム」ならびに「指導力」がどのような構造を有しているのか、2年次は明らかにしなければならない。
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