研究概要 |
本研究の平成20年度には,主に以下の点に関して研究を展開した。 学校組織開発研究の知見の整理と検討:学校の内発的改善力を形成するための学校組織開発研究については,小学校において継続的に展開してきた実践研究の経過と成果・課題等について,資料の収集と整理を行った。その成果は,佐古秀一・山沖幸喜(2009)の論文として公表した。この実践事例とこれまでの研究知見との分析によって,学校組織開発の実践研究として取り扱ってきた事例には,(1)学校が取り組むべき課題が教職員にとって明確でない状況から着手する場合(例えば,佐古・中川2003)と,(2)学校が取り組むべき課題が,当初から比較的明確な場合,に区分されるべきことが明らかになった。そして,学校組織開発の基本的な仮説は同様であっても,それぞれの学校の状況に応じて着手すべき方法論の違いが示唆されるととに,課題が不明確な状況からスタートしながら,教職員の教育実践の自律的・協働的改善へと接合する,段階的な組織開発(漸進的な組織開発)のプランニングについても一定の示唆を得ることができた。 (2)学校組織開発理論を応用した管理職育成プログラムの構築:高知市教育研究所との共同研究として展開した。その成果を,佐古・高知市教育研究所教職員研修班・久我・大西(2009)の論文として公表した。学校におけるボトムアップ型の目標構築と内発的改善力モデルに基づく組織運営・変革方法論の習得を主要なねらいとする管理職育成型の研修プログラムの基本的な構成を行い,実施に至っている。 (3)学校評価構築システムへの学校組織開発理論の応用的研究:鳴門市教育委員会等と連携をとりながら,児童生徒の現状分析から学校課題の生成を行い,実践の変革と評価を学校で協働的に実施することを促すことをねらいとした学校評価システムの構築作業を行った。この実践研究の成果は,久我・葛上・佐古2009等で公表した。
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