研究概要 |
(1)学校組織開発の理論と実践的方法論の構築 (1)本年度については,これまで蓄積してきた学校組織開発の基本モデルと実践的展開の類型化に関する研究を推進した。この研究の成果は,佐古・竹崎(印刷中),佐古(印刷中)等において,学校組織開発の実践的な展開過程の知見として公表した。 (2)本年度は,とくに学校の諸活動を組織化するための方法論の構築を実践研究を通して明らかにした。この包括的な学校組織開発の手法は,学校において,児童生徒の実態(認識)⇒課題の生成⇒実践⇒実態(認識)のサイクルを教員間の協働によって進展させるという基本モデルに拠りながら,課題の生成局面において,児童生徒の実態,すなわち現象的問題を整理して,その基底にある本質課題(方向目標ないし価値的目標)を一旦設定する点に特長を有している。そして,この本質課題と関連づけて,教員による授業等の常時指導の改善,行事等の見直しと改善,家庭・地域への情報発信内容の見直しと改善,校内研修の運営の改善等を位置づけ,学校の諸活動を包括的に組織化する組織開発方法論である。これらの学校組織開発方法論の構築については,佐古・宮根(2011)等を展開し,その実践的有効性が確認することができた。 (2)学校組織開発理論に基づく組織マネジメント研修用プログラムの作成と試行 学校組織開発理論の知見を体系化しつつ,これを組織マネジメント研修のプログラムに応用する試みは,すでに高知市教育研究所,福生市教育委員会等との協力しながら進展させてきた。児童生徒の実態(認識)⇒課題の生成⇒実践⇒実態(認識)の各局面で学校の協働関係を構成し,協働による組織化を実現する組織マネジメントを実践できるスクールリーダーを育成するための基本カリキュラムの整理と,実践化のためのワークシートの作成と試行を行った。これについては佐古(2011)で公表したが,研修の効果等については,十分な検証に至っておらず,今後の課題である。
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