2年目である平成21年度は、前年度に引き続き、次の3つの作業に取り組んだ。 第一に、ドイツ各州での学力向上の取り組みについて情報収集を進めるとともに、複数の州について、その基本理念や理念形成の背景について分析するという作業である。これについては、第一に、中等教育の学校制度において多面的な見直しが始められていることが挙げられる。たとえば、バイエルン州ではギムナジウム上級段階の改革が進められる一方、基幹学校の改革にも着手することをとおして、各学校種に即して学力向上を図ろうとしている。第二に、教員養成システムの改革が進められていることである。たとえば、すべての教員に修士号の取得が要求されることとなったことが特徴的な点として挙げられる。 第二に、ドイツ各州での学校経営改革の現状についての情報収集を進めるという作業である。これについては、前年度の調査結果に引き続き、各州において外部評価制度が定着してきていること、学校の自己責任を拡大する政策が進められてきていることなどを挙げることができる。 第三に、日本における学力向上の取り組みについての情報収集を進めるとともに、学校経営改革の現状についての情報収集を進めるという作業である。これについては、副校長、主幹教諭、指導教諭などの「新たな職」の導入により、学校組織を階層化させることで、教員の資質向上を図るという取り組みがなされていることが挙げられる。
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