研究課題/領域番号 |
20530735
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
柳澤 良明 香川大学, 教育学部, 教授 (40263884)
|
キーワード | 新しい公共 / 学校運営協議会 / 小中一貫教育 / 学力保証 / 中等教育学校 / 社会的学習 / 学習文化 / 地域 |
研究概要 |
4年目である平成23年度は、平成22年度の研究に引き続き、次の3つの作業に取り組んだ。 第一に、日本の学校経営改革の現状について情報収集を進め、その基本理念や理念形成の背景について分析した。その成果として、「新しい公共」という概念を基本理念とした学校づくりの取り組みが進められてきており、その背景や現状について認識を深めることができた。この「新しい公共」という概念のもとでは、「参画」「協働」「責任」といった概念も重視されており、その具体的な取り組みとして「学校運営協議会」が注目され、この「学校運営協議会」は現在、文部科学省の教育政策においてその拡大が求められてきている。 第二に、日本の学力向上の取り組みについて情報収集を進めることであった。とくに特色ある取り組みが見られる教育委員会を事例として取り上げることであり、その事例として小中一貫教育に取り組んでいる呉市教育委員会を挙げることができる。呉市教育委員会では、小中一貫教育を推進することをとおして義務教育9年間にわたる学力保証に取り組んでいる。 第三に、ドイツにおける学力向上の取り組みおよび学校経営改革の現状について最新情報のフォローに努めることであった。その事例として、バイエルン州で導入された、基幹学校と実科学校を統合した中等教育学校(Mittelschule)を挙げることができる。この中等教育学校では、企業等での実習(Praxis)、自己責任ある生活を送るとともに実りある職業生活を送るための基盤を形成する社会的学習(Soziales Lernen)が重視されている。またチューリンゲン州は、「チューリンゲン州教育モデルー地域での新しい学習文化」(Thueringer Bildungsmodell-Neue Lernkultur in Kommunen)(略称、nelecom)に取り組んでいる。これは学校と地域が連携し、子どもたちが地域で体験を積む一方、地域づくりに加わることで新たな学習文化を創造しようとする取り組みである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無理のない合理的な研究計画を立てているため、平成23年度の研究をほぼ予定どおりに達成することができ、研究全体はおおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については、従来の推進方法を格段に変更する必要はない。今後も、当初の研究計画で示した内容にもとづいて研究を進める予定である。 研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点についても、現段階ではとくには生じていない。
|