本研究の目的は、国内外において教育改革のキーパーソンとされる校長職の資質力量を高める効果的なプログラムとその手法を開発するとともに、優れた人材を登用できる人事システムを検討することにより、自律的な学校経営を推進するための理論と実践を構築することにある。本研究は、a.校長職の資質・力量を高める効果的なプログラムとその手法を開発する b.優れた人材を管理職に登用するための校長人事システムを構築するという2つのテーマを内包している。そのためには、1まず、先行研究のレビューや全国調査などを実施し、わが国の校長職に求められる資質・力量の内実を明らかにすることが必要である。2次に、諸外国の実態や他分野の知見に学びながら、校長の資質・力量を向上させるためのプログラム開発やこれを効果的に遂行するための教授メソッドの検討も要請される。3上記のプログラムを有効に機能させるための自治体校長人事システムを教育行政機関との協働で開発し、実現可能なモデルを構築する。 2年目にあたる平成21年度は予算の関係で外国調査班を韓国に特化し、関係メンバーである佐々木、田中、元兼において大韓民国での校長資格研修の現状分析と今後の展望に関して学会報告を行ったり、2010年度の研修制度の変容についてのフォローアップ調査を実施するなどした。また、国内調査では「校長・教頭等任用制度に関する調査」を国内班である元兼、楊とで10年ぶりに実施し、目下その解析中である。その成果の一部としては裏面の教育雑誌にて発表している。中継ぎの年であるため関連文献を収集して先行研究のレビューを行ったり、初年度実施したアメリカ調査のまとめも並行して行ったりしており、そうした成果は、最終年度の報告書に盛り込む予定である。大学と教育委員会の協働による本件テーマとしては韓国の事例に学ぶべきところが多く、次年度はさらにそうした研究に焦点をしぼって本件研究課題の解明に努めたい。
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