平成20年度は、これまでにすでに収集済みのCIE Recordsの中から、本研究テーマに関わる主要文書を選び出し、その一部を検討した。また、日本側の第一次資料のうち、国立教育政策研究所所蔵『戦後教育資料』の一部と、『田中二郎文書』を収集して、ハードコピー化した。さらに、教師教育・教員養成・教員免許制度・戦後教育改革等に関する図書・文献を検討し、このテーマに関する先行研究を確認した。 本研究の目的は、占領下における教師教育に関するCIE文書を系統的に検討することによって、第一にCIEの果たした役割、文部省の対応、各師範学校および旧制大学等の対応を実証的に明らかにし、第二に、戦後日本における教職教育の内容を、CIEがいかなるものにかえようとしたのかを解明し、そして第三に、CIE主導の下に進められた教員資格・免許制度改革過程を明らかにすることである。 膨大なCIE文書の中から教師教育・教員免許制度改革に関する文書を探し出すことは骨の折れる作業であるが、教師教育・教員免許制度改革関係の資料は少なくはないので、多くの文書が見つかっている。ただし、本研究は資料に基づく実証研究であるため、初年度である平成20年度は、資料の収集と整理に時間と労力がとられ、分析結果を発表するに至ってはいない。 最終的には、CIE Records所収の諸資料、その他の米国側資料にもとづいて、占領下における教師教育カリキュラムの改革をめぐって、CIEスタッフ、文部省担当者、日本人の教育学者などがそれぞれどのような構想を抱き、いかなるダイナミズムの中で改革が推移していったのかを実証的に解明したい。
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