研究概要 |
エフェクティブ・スクール(effective school、「効果のある学校」)であるカミノ・ヌエボ・チャーター・アカデミー(以下,カミノ校)の事例を、学校法人と教育費という複眼的視点から再分析した論文を公刊した(「コミュニティ・スクールとチャータースクールスクール」共著『地域教育の構想』同時代社に所収)。同論文では、地域開発NPOが学校設置主体となった経緯やその要因を明らかにするともに、「教育費の水路」(三上和夫)の開拓に関する、資金調達におけるNPOとしての強み、資金運用におけるNPOと学校財務の連結の工夫を解明した。さらに同論文において、日本におけるコミュニティ・スクールとチャータースクールスクールに関わる1990年代以降の政策的動向を整理し、カミノ校の学校組織イノベーションの日本への示唆にも言及しておいた。 本年度のもう一つの成果は、学校組織マネジメントの研究動向について整理を行ったことである。テキスト(教科書)を素材にして、そこに反映させられた学校組織マネジメントのアメリカ的な研究系譜を「テキストから考える教育行政学教育」(『法政大学キャリアデザイン学部紀要』第7号)として発表した。アメリカでは、行動科学や管理科学をベースとした学校マネジメント研究が、1990年代以降、組織行動論を核として発展させられている。このことは、イノベーションへのモチベーション、リーダーシップ、組織学習が、チャータースクールでも重視されていることと軌を一にしており、本研究の事例分析が一般的な意義を持つことを裏付けている。
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