研究概要 |
1.本研究は、教員養成「基準」の存在に支えられた入職ルートの「多様化」が、地域の教員確保【量】と大学における教員養成の改革【質】の両面にもたらすインパクトについて、現代のイギリス(本研究ではイングランドに限定する)を対象として検討しようとする3ヶ年計画の研究である。 2.本年度は、(1)本研究の申請時以降、新たに導入されることになった教職修士号(Masters in Teaching and Learning=MTL)について、導入準備状況と教員確保に与える影響の見通しを把握すること、(2)入職ルートの「多様化」が実際にどのように機能しているか/いないかを今日の改革動向の中で確認すること、の二点に重点を置いて文献収集・調査を行った。 (1)に関しては、MTLの管理運営・授業実施担当者を主たるメンバーとするTeacher Education Advancement Networkが主催するワークショップ(Teaching : A Masters Profession-Continuing the Conversation)に参加した。また、Institute of Education, University of LondonでMTLを担当しているMs Caroline Dalyから、IOEでのMTLの導入経過とスタッフ間での議論について聞き取りを行った。 (2)については、現時点で成功しているSchool Centred Initial Teacher Trainingの例とみなされるPilgrim Partnership(Bedford)を訪問して聞き取りを行った。また、ロンドン地域で、雇用ベースの教員養成ルートを活用して難民の教員にイギリスでの資格付与を行おうとしたプロジェクトの経緯について、Dr Mano Candappaに聞き取りを行った。 これらを通じて、教員養成の質的向上をめざす改革の全体状況の把握を進めることができた。
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