2008年度は、川崎市内の保育所にて、昨年調査を行った0歳児クラスに加えて新たに1歳児クラスにも目を向け、空間構成の変更が子どもの行為や発達にあたえる影響について、アクションリサーチ的手法を取り入れて調べた。1年間にわたり、担当クラスでの話し合いや全体研修等を積み重ねながら、少しずつ部屋の空間構成を変えていった結果、0歳児クラスの場合と同様に1歳児クラスにおいても、午後の自由遊びの時間における子どもの様子が変わってきていることが、ビデオ観察によって明らかになりつつある(現在、データの分析中)。またそれと同時に0歳児クラスでは、2009年度の調査に向けて、保育室の音環境を測定した。これまでは音環境の測定は、騒音レベル(db)しか測ることができたかったが、新たに導入した機器により、騒音レベルの中身まで調べることができるようになった。午後の自由遊びの時間における騒音レベルは70db以上を超える時間帯が長いことが改めて判明し、70db以上を超える音源は子どもの声が多いことがわかった。来年度は、今回の調査を参考にしながら、音環境と子どもの行為との連関を詳細に調べる予定である。 その調査と並行して、保育室の環境構成をキーワードに、川崎市内の保育所と横浜市内の保育所に相互交流型の研修を提案し、1年間にわたって行ってきた。交流の様子を記録し、また聞き取り調査などを行った結果、環境構成に対する保育士の意識が少しずつ変容していくことが明るみになった。それと同時に、相互交流型の研修において、園の選び方、交流の仕方など新たな課題も出てきた。
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