本研究はつぎの3点を目的としている。 (1)1930年代以降のロシア保育界の動向を、ユニバーサルな保育制度(希望するどの子どもにも一定水準の保育を無料か廉価で保障できる制度)の構想と実態の交錯に焦点をあてて、追跡する。 (2)そこで明らかになる保育制度の様態の特徴を20世紀日本の保育制度のそれと比較する。 (3)それらを通して、現代社会に適用可能なユニバーサルな保育制度に関するモデル仮説を構築する。 このうち、3年目にあたる22年度は、前年度までに精力的に収集した(1)に関する資料の整理を進め、ユニバーサルな保育制度のモデル仮説を構築するための基盤整備に集中的にとりくんだ。また、(2)の準備として、日本の保育制度の構想と実態の推移に関する資料の収集にも努力を傾注した研究を開始する。 このうち前者の成果については、幼児教育史学会の研究会やソ連史に関する研究会で発表するとともに、関連する一般誌および研究紀要で活字にした。
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