5年間にわたる本研究はつぎの3点を目的としていた。 ①1930年代以降のロシア保育界の動向を、希望するどの子どもにも一定水準の保育を無料か廉価で保障できるユニバーサルな保育制度の構想と実態の交錯に焦点をあてて、追跡する。 ②そこで明らかになる保育制度の様態の特徴を20世紀日本の保育制度のそれと比較する。 ③それらを通して、現代社会に適用可能なユニバーサルな保育制度に関するモデル仮説を構築する。 最終年度にあたる24年度は②の比較を終え、③にとりくんだ。その成果は最終報告書としてとりまとめ中である。また、より広い視野から上記の目的を捉えるために、乳幼児を含む子どもが1890~1991年のロシア・ソ連社会において占めた位置とその変化について考察し、同時代の日本社会における子ども史との比較を試みた。このうち前者の考察の成果は勤務先の研究紀要と世界子ども学研究会の会誌に発表した。
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