本研究はつぎの3点を目的とするものである。(1)1930年代以降のロシア保育界の動向を、ユニバーサルな保育制度(希望するどの幼児にも一定水準の保育を無料か廉価で保障できる制度)の構想と実態の交錯に焦点をあてて、追跡する。(2)そこで明らかになる保育制度の様態の特徴を20世紀日本の保育制度のそれと比較する。(3)それらを通して、現代社会に適用可能なユニバーサルな保育制度に関するモデル仮説を構築する。その際、日露両国の保育経験の相対化が必要なので、両国の「参照国」フランスにおける保育制度の歴史的特徴についても掌握する。2.研究の進捗状況その要点はつぎのとおりである。
|