北海道にあるA町(旭川市から南東に約200kmにある帯広市のベッドタウンを形成している町)を対象として、学校規模という教育環境の違いが、学習活動にあたえる影響を明らかにした。調査対象校は、A町の小学校15校で、調査対象者は、小学校5・6年生の児童である。学習活動を捉えるにあたり、学校生活に関わる意識調査(学校生活意識調査)と国語と算数の基礎学力を問う試験(基礎学力調査)を用いた。分析の結果、次の2点を明らかにした。 1.向学校性の規定要因として「クラス」のウエイトが高いことが明らかになった。極小規模、(50人未満)では、向学校性が高い学校と低い学校に二分される傾向があった。学校規模には、向学校性に対して有意な影響を与えるほどの規定力を見出すことはできなかった。このことは、向学校性自体が学校規模と無関係であるという可能性と、向学校性の底が学校規模でいうと第2カテゴリー(50人~299人)であるため、学校規模と向学校性の関連を線型モデルで捉えきれないという両方の可能性がある。 2.学力の規定要因として「授業理解」のウエイトが高いことが明らかになった。学力に対する「学校規模」の規定力は授業理解に次ぐものであった。極小規模(50人未満)では、学力が高い学校と低い学校に二分される傾向があった。加えて、極小規模では、同じ学校でも、学年や教科による差異が顕在化しやすい傾向がある。調査対象地域の小学校では、学校規模は、小6の国語と算数の両方の学力に対して負の影響を与えていた。これに対して、小5では学校規模が学力に対して与える負の影響を見出すことはできなかった。
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