第一に、マルチレベル分析によって学力に学校規模が与える影響を検討した。小5では「授業理解」と「パソコン所有」が学力に正の規定力があり、小6でも同様に「授業理解」と「パソコン所有」が学力に正の規定力を有していた。加えて、小6では「学校規模」が、学力に負の影響を与えていることが明らかになった。学校による切片の分散が小5、小6のいずれにおいても有意ではなかったことからすれば、学力の違いは、学校の教育活動の違いによって生じたものではなくて、むしろ個人による違いによるものと解することができる。 第二に、マルチレベル分析によって向学校性に学校規模が与える影響を検討した。向学校性に関しては、学校による分散はOに等しく学力以上に個人による違いが大きいこと、向学校性には「学校規模」の影響は見出されないこと、向学校性には「クラス」、「自信」、「教師」という変数が正の影響を与えていることが、明らかになった。 第三に、被験者を個人とするデータを用い、学力ならびに向学校性に与える、「学校規模」、「授業理解」、「パソコン所有」、「クラス」、「自信」の影響関係を共分散構造分析によって捉えた。対象とした地域の小6では、「パソコン所有」(経済的要因)と「授業理解」が学力に正の規定力を有し、「児童生徒数」は学力に負の規定力を有すること、「クラス」と「自信」が向学校性に対して正の規定力を有することを明らかにした。
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