I 「初等教育普遍化に向けての企業によるNGO支援の関係モデル」の検討 初等教育普遍化に関連する企業の活動と、企業の支援を受けているNGO等の活動について、Webを検索して情報収集をおこなった。これらの情報に基づいて、当初構想した「モデル」に検討を加えた。 II インド国内における企業によるNGOに対する支援の具体的事例の現地調査(研究代表者・渋谷) 企業が支援している初等教育関係のNGOとして、ICICI初等教育センター、アジム・プレムジ財団、アクシャラ財団、プラターン等を訪問調査し、その活動と企業による支援の実際に関して、基本的情報を確認するとともに関係者に対するインタビューを行った。その結果、以下の知見を得た。(1)企業からの出資や寄付等がこれらのNGOの財政基盤であり、企業はそれを社会貢献のひとつと位置づけている。(2)これらのNGOは小規模のパイロットプロジェクトを実施し、その成果を州政府の本格的プロジェクトにつなげている、(3)企業はこれらのNGOの活動を通じて、州政府や他のNGOに対する技術的支援を行っている、(4)量的普及よりも教育の質の向上に重点が置かれている。 III 日本企業が主として財政支援を行っているカンボジア・ラオスにおけるNGO等の活動事例の現地調査(連携研究者・古川) 日本の企業からカンボジア・ラオスに対する国際機関を経由した財政支援の事例として、イオン・グループと(財)日本ユニセフ協会とのパートナーシップによるUNICEFのカンボジア・ラオスでの初等学校建設プロジェクトへの財政支援状況を調査した。また、日本の企業からラオス政府とNGOの共同プロジェクトに対する財政支援の事例として、日本のNGOである日本民際交流センターが、現地NGOであるEDFを通じて実施している初等学校建設、及び奨学金・教師養成プロジェクトへの財政支援の実施プロセスを、サバナケット県教育局・郡教育事務所、サバナケット教員養成校、及び同県内学校建設サイト3か所での聞き取り調査により追跡・検証した。これに加え、外交ルートを通じた韓国企業による学校建設プロジェクトへの財政支援経路が存在することも明らかとなった。
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