1.初等教育普遍化に向けての企業、NGO、政府の3者間のパートナーシップ(PPP)という視点からの研究枠組の再検討-20年度・21年度の本研究での企業によるNGO支援のケース・スタディの取組み、ならびに関連する研究の国際的動向から、本研究の当初の研究枠組を再検討する必要が生じた。したがって、企業によるNGO支援に限定するのではなく、初等教育普遍化に向けての企業、NGO、政府の3者の相互間のパートナーシップのなかでの、企業による支援の類型化を行った。つまり、企業による支援を、(1)資金協力、(2)人材の提供、(3)技術的支援に大別し、それぞれについて、ケース・スタディにもとづき、機能と戦略を分析した。 2.援助国側の企業によるNGO支援の検討-援助国側の企業(被援助国にとっては外国企業、多国籍企業)によるNGOに対する支援の実際と問題点に関して、英国と日本を具体的事例として分析した。援助国側の企業による支援には、(1)企業から国際機関または国際NGOへ、(2)企業から援助国のNGOへ、(3)企業から被援助国NGOへ、という3つのパターンが考えられるが、たとえば日系企業には被援助国NGOを通じた間接的な支援だけではなく、教育行政上末端に位置する各学校への企業の直接的な支援も多数存在している。 また問題点としては、たとえば英国では、初等教育普遍化を目的として国際NGOで構成されるCEF (Commonwealth Education Fund)は、企業とのパートナーシップを前提として開始されたが、その過程でNGOと企業の「文化」の違いが明らかとなり、他方、企業がビジネスとしてNGOとのパートナーシップに関心を示すにつれ、企業の役割を限定的にとらえるべきだという指摘がなされている。
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