20年度に主に国立大学を訪問。21年度は公立大学7校、私立大学7校を訪問。22年度は私立大学2校、学会などを訪問すると同時に、ヒアリング結果を分析し、まとめ作業を行った。すでに国立と公立については学会発表や論文等で一定の分析を明らかにしているので、22年度は特に、私立大学の任期制教員について、学会発表や論文発表を行った。 私立大学の多くは、任期制の法律が制定される以前から、契約制の教員を雇用していた。当初は国公立大学定年後の教員や主に外国人講師の採用であった。契約教員が特に多くなったのが、「臨時的定員(臨定)」の時期からである。私立大学の任期(契約)制教員は、臨定の時期に急速に増え始めたことがわかった。学生定員も「臨時」である同時に、その教育を担う教員も契約が増えたということである。2000年代に入ってから開学した2つの私大では、全員、あるいは3分の1程度が任期制であった。ヒアリングした私立大学では、平均15%前後は任期制(もしくは契約)であった。同時に、職員も非専任が急速に増えている。また、大学院拡充政策でオーバードクターやボスドクが増えたが、その受け皿として、任期制の助教も増えた。COE、GPなどで任期制教員が多くなっている。 FDやキャリア形成の視点からの配慮も現状ではほとんどないことが明らかになった。ただし、一部の私立大学では、若手のオーバードクターやボスドク対象のポストに対して、積極的に教育経験を積ませ、教育研究業績を上げさせる政策をとっていた。 今度より一層、任期制教員のFDやキャリア形成を国としても,大学としても真剣に考えなければならないだろう。
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