研究概要 |
教師にとって教育テクノロジーとは何かについて、その多様性と共通性を、とくに教育工学(視聴覚教育、情報教育を含む)を専門とする教師のライフ・ストーリーを以下のような観点から分析することによって,研究した. a.教師とテクノロジーとの出会い b.教師が自分の教育実践にテクノロジーを採用する契機について c.教師がテクロノジー利用を発展させるプロセス d.教師のテクノロジー利用とその他の要因との間の相互作用 e.教師による教育テクノロジーの総合的なイメージと問題・課題意識と期待 本年度は,校長経験者を含む日本人の退職教員らと,初等学校教員経験者で大学で教育工学を担当している大学教員にインタビューした他,カナダ・トロント市の教育委員会でのテクノロジーコーディネータ,テクノロジー専門教師,テクノロジー専門で,現在は大学教員となっている教師らにインタビューした.インタビューに際しては,あらかじめ履歴書の提供を求め,それを熟読してインタビューの教員歴について理解した上で,インタビューに臨んだ.インタビュー記録は文字化した上で,筆者の開発した質的データ分析手法であるSCATを用いてコード化を用いた分析を行い,理論化を試みた.その過程で,必要に応じてメールを用いてフォローアップ・インタビューを行った. それにより,上記のような点に関するいくつかの重要な概念が抽出された.その際,上記以外の観点として,初年度に見いだされた「テクノロジー利用への傾倒がその教師に与えた影響」「テクノロジー利用と教師の生きがい」等についても,さらにいくつかの知見を得た. この結果をもとに,次年度のインタビュイーの選定と質問項目の選定を行った. なお,テクノロジーの教育利用とそれに関わる教師に関する研究的知見を医学教育研究に積極的に応用した.
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