本研究は、スイス在住の日系国際児の教育やアイデンティティ形成を聴き取り調査から解明することを目的としている。21年度は、引き続きスイスで現地調査を行うとともに、スイスの多文化教育に関する政策文書を翻訳・分析した。 (1) 先行研究・基礎資料の検討 2009年4月~2010年3月 1) 在外教育、国際結婚、アイデンティティ形成に関する先行研究を検討した。 2) チューリヒとバーゼルの州教育委員会の多文化教育に関する政策文書を翻訳し、分析した。とりわけ、第二言語としてのドイツ語教育と母語母文化教育について検討した。 3) 異文化間教育学会に参加し、関連分野の最新研究動向を把握した。 (2) 調査の準備 2009年4月~2009年9月 過去のインタビューのトランスクリプトの読み返し、質問項目を再検討、調査協力依頼をした。 (3)調査の実施 2009年9月17日~25日 スイス・チューリヒにおいて、保護者12名、補習校教師2名、生徒1名の計15名に聴き取り調査を行なった。 (4) 調査結果の分析・考察 2009年4月~2010年3月 1) インタビューデータのトランスクリプトの作成:基礎的な書き起こしを業者に依頼した上で、調査者が逐語的なデータを完成した。 2) 結果の分析・考察:トランスクリプトを繰り返し検討しながら、各対象者の経験や主観、対象者間の相違点などを分析・考察した。 (5) 学会での発表 2009年6月 異文化間教育学会において、イギリスの日系国際結婚家庭の教育環境について口頭発表した。発表題目は、「日系国際児における母親の言語・文化の教育環境」である。
|