本研究の目的はボーダーフリー大学、いわゆる底辺大学と呼ばれる大学に在学する学生の実態を調査することで学生の学習行動、および生活実態を明らかにし、さらにはその結果をもとにボーダーフリー大学における今後の学生指導のあり方を示唆することである。平成20年度は大きく以下の3点について研究を進めた。 1)大学生の学習行動、および生活実態をマクロな視点から明らかにするためのアンケートを作成した。アンケートは、国立大学4校、公立大学3校、および私立大学8校、計15校で実施した。対象校は中堅国公立大学、中堅私立大学、およびボーダーフリー大学であり、各大学の比較を行う上では十分なサンプルであろう。現在、集計中であり、平成21年の日本教育社会学会などで報告する予定である。 2)大学生に対するインタビューの予備調査を私立大学3校にて実施した。主に学習に対する態度や意識を中心に聞き取り調査を行っている。調査に協力してもらった学生の多くが、学習に対して意欲的であり、「まじめ」に大学での学習に取り組んでいることが明らかになった。これは表面的には学習に対して否定的な行動をとる学生にも共通しており、大学での学習指導の重要性を推測させるものである。 3)学生調査およびその質的分析に関する文献を収集し、検討を行った。ボーダーフリー大学については、その現状が雑誌などで紹介されていても、十分な学術的検討がなされていない。本研究の研究成果は重要な意義を持つであろう。また質的な分析についても、これまでの学生研究では十分に行われておらず、その成果が期待されよう。
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