本研究の目的はボーダーフリー大学、いわゆる底辺大学と呼ばれる大学に在学する学生の実態を調査することで学生の学習行動、および生活実態を明らかにし、さらにはその結果をもとにボーダーフリー大学における今後の学生指導のあり方を示唆することである。平成21年度は大きく以下の3点について研究を進めた。 1) 前年度に実施した大学生の学習行動、および生活実態をマクロな視点から明らかにするためのアンケートを集計し、分析した。分析の結果、ボーダーフリー大学の学生の学習意欲は決して低いものではなく、むしろ地方の中堅国立大学よりも高い場合もあった。しかし、実際の学習行動は、必ずしも意欲を反映してものとはなっていなかったことなどを明らかにした。このことは大学の学習指導が表面的な意欲の面では効果をもたらしても、実質的な学習には結びついていないことを推測させる。 2) 上の結果をもとに、学生、および教員に対するインタビューを行った。ボーダーフリー大学を中心に、その他の大学の学生、教員に対してインタビューを行った。そこでも上のような学生の特徴は再確認されている。今後は、大学の活動と学生の意欲、行動との関連を明らかにすることが必要とされる。 3) 以上のような分析結果を踏まえて、ボーダーフリー大学、およびその他の高等教育機関を分析する際の方法論的な問題について検討を行った。
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