研究課題/領域番号 |
20530777
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山崎 博敏 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10127730)
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研究分担者 |
須田 康之 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (90216474)
伊藤 一統 宇部フロンティア大学, 短期大学部, 教授 (20300452)
鳥田 直哉 東海学園大学, 人文学部, 講師 (80352863)
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キーワード | 学校規模 / カリキュラム / 統廃合 / 授業 / 人口変動 |
研究概要 |
本年度の成果は以下の通りである。 (1) 戦後における学校規模の分布の変化と現状分析:昨年度までに入力した『学校基本調査』等のデータに、今年度も引き続き高校を中心に追加入力を行った。全国および各都道府県別の高校の学校規模分布を分析した。 (2) 学校規模と指導方法・教育的効果に関する高校校長調査の分析:昨年度に実施した全国の高校校長質問紙を分析し、中国四国教育学会(11月島根大学)において上記統計データの分析結果とともに発表し、論文を執筆した。 その結果、明らかとなった事項は、以下の通りである。 (1) 全国の高校生徒数は、ピークの1989年の564.4万人から20年後の2008年に336.7万人にまで40.4%も減少し、約6割になった。これに対して、学校数と教員数の減少は穏やかであった。その結果、平均学校規模(生徒数)は、1989年の1024人から2008年には633人へと6割超の水準に減少した。また、PT比は1990年の19.7から2008年の14.0まで大幅に減少し、教育条件は向上した。1990年以後、700人以上の中規模・大規模校の割合が減少し、700人以下の小規模・中規模校の割合が急増した。この傾向が強かったのは、山口県、高知県、岩手県など地方の県であった。 (2) 1899校の高校校長に配布した質問紙は、有効回答数574を得た。本年度は、第1に、学校規模と教育課程の関係を分析した。その結果、学習指導要領で必修・選択必修に指定されている科目は、学校規模に関わりなく開講率は非常に高かった。大規模校では、開講科目の種類が多く、古典購読、倫理、政治経済、数学III、数学C、物理II、化学II、生物IIのように高度な科目が開講されている。小規模校では、国語表現や理科総合Bなど、総合的な科目が開講される傾向が見られた。第2に、学習の状況を学校規模別に分析した。小規模校では「分からないことがあると生徒はよく質問する」「授業中、生徒は教員の話をよく聞いている」などが高かった。逆に「宿題をやってこない生徒がいる」「授業に集中しない生徒がいる」は大規模校が多かった。第3に、学校生活の側面では、小規模校は、「生徒たちは、日常の基本的生活習慣を身に着けている」「全体に伸び伸びとしている」が多い。逆に、大規模校では「教員の指示に従わない生徒がクラスにいて困ることがある」など生徒指導上の問題が多かった。しかし、「生徒同士の人間関係に教員の目が行き届いている」は大規模校の方が多かった。第3に、自校の教育の充実度に対する自己評価は、小規模校の校長が自校の教育を高く評価しているという結果であった。
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