平成21年度における研究は、以下のように実施した。 第1は、昨年度に引き続く文献・資料の収集と分析である。特にトラスト・スクールに関する政府の推進政策に関する文書等及び保守党のトラスト・スクールに関する政策文書を、主にインターネット及び現地調査により、収集し分析を行った。 第2は、トラスト・スクール訪問調査の実施である。今年度も2回の訪問調査を行った。第1回は、2009年9月25日から10月5日までの11日間である。調査対象校は、Liverpool近郊のトラスト・スクール(中等学校2校)及びBlackpoolのトラスト・スクール(中等学校1校)である。第2回は、20正0年3月11日から3月18日までの8日間である。調査対象校は、London近郊Southbourneのトラスト・スクール及びThreebridgesのトラスト・スクール(いずれも中等学校)である。学校調査においては、校長、学校理事へのインタビュー、関連資料の収集、授業観察を行った。 本年度の調査によって、主に以下の点が明らかとなった。 (1) 第1回調査におけるLiverpool近郊のトラスト・スクールは2校ともコーポラティブ・トラスト・スクールであるが、校長等へのインタビューにおいてコーポラティブ・トラスト・スクールの理念がイギリスの学校に徐々にしかし確実に広がりつつある状況を認識することができた。 (2) 第2回調査では、トラスト・スクール制度自体が新しいものであるだけに、トラスト・スクール運営におけるトラスト理事会と学校理事会との関係はまだ確定されておらず、両者がどのような関係を持つかについて、各学校が模索中であることが明らかとなった。
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