最終年にあたって、若者の自立支援活動とその組織体制との関連について、国際比較の視点も交えつつ、報告にまとめる作業を実施した。 まず、「社会的ひきこもり」の支援を実践している諸施設(NPO法人Wの会、K自然学校等)を訪問しそ指導著に聞き取りを実施し、活動の特徴を理解する作業を行うとともに、支援を模索するひきこもりめご家族(S自立援助センター等の親の会)に実施したインタビゴーを分析する作業にも着手した。加えで、その予備群ともいえるブリーター・ニート層の20代青年への聞き取り調査の分析も試みた。ここから”ささやかな一歩”という言葉で表現されるように、家庭内でほ家事も手伝えるのに、外の社会では会話さえできないといったコミュニケーショシ阻害を訴える若者たちに対して、小さな社会性形成の手ごたえを確実に評価していくきめ細かな実践の姿勢が必要とされていること(アウトリーチ型支援も同様)がわかった。また、冒険体験のような特殊な集団的活動には、参加へのハードルが高く乗り越えられない事例もあるので、細心の注意が必要であるとみられた。 他方、昨年からめ継続で、「初発型非行」を対象としだ短期処遇の少年院(A高原寮等)、あるいほアメリカの「ティーンコート」(マツクミランTC等)による青少年の立ち直り支援の取り組みを、現場でフィールドワークやインタビューから読み取ることも行った。日本では、面談や集団行事などを通した”対話的なケア”の方法による自己変容を求める傾向が強いのに対して、アメリカでは、社会的な活動に積極的に参加させ、自己呈示をさせることでソーシャルスキルを獲得させる傾向の強いことが詳細にわかった。日米で方法論は異なりながらも、社会性を形成する過程を正確に把握し伝達するファシリテーターの存在が不可欠であることも理解できた。 これまで日本ではひきこもりや非行などの問題を隠し、密かに社会に包摂しようとする”自己反省的な手法”が重視されてきたが、今後一層、”プラグマティックな対処方法”を社会的に学習させるオープンで確実な実践が求められており、指導者の養成や方法論の学習などに計画的に取り組む必要がある。この調査結果を各種学会で発表し、『教育学論集』等にも執筆し、整理した。
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