最終年度にあたる平成22年度は、実践、研究、および、政策の目的の共有化・運営化のなかで試行錯誤的に運用されている日常的な保育の実践知を社会文化的アプローチの諸理論とエスノグラフィーの手法を用いて明らかにするとともに、今後の「教職実践演習」「教員免許更新講習」、ならびに、民間団体が実施する研修を想定したアクション・リサーチを展開することを目的に、実践知の創造を支援する活動システム理論の構築につながるフィールド調査とワークショッププログラムの開発を行った。フィールド調査では、公共施設の「世田谷パブリックシアター」「あうるすぽっと」「こどもの城」「アステールプラザ」と私的施設の「セッションハウス」を中心に、先駆的なワークショップ型研修の参与観察と資料収集を行い、本研究のプロジェクトを遂行する際の参考にした。平成22年度にアクション・リサーチとして実施したワークショップ、ならびに、データセッションは、次のとおりである。 演劇ワークショップIII「リラックスとコミュニケーション(講師:きだつよし)」(於安田女子短期大学)2010年9月15日 演劇ワークショップIV「リラックスとコミュニケーション(講獅:きだつよし)」(於安田女子短期大学)2010年11月12日 データセッションII「保育者養成における演劇ワークショップ」(於安田女子短期大学)2011年3月15日 データセッションIII「保育者養成における演劇ワークショップ」(於安田女子短期大学)2011年3月25日 最終報告書では、ワークショップが生まれるまでの経緯とその後の経過を現場の実践的な厚い記述とともに振り返り、演劇やコンテンポラリーダンスなどの「芸術」や「多職種専門家チーム」によって創造される知と学習者が専門的な仕事で必要としている「保育・教育」の知を相互に関連づけながら体系化し、人々を実践へと向かわせる活動が現実への理論的関与に変容する過程について考察している。
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