第一年次に、主として、1960年代以降のわが国の国際教育協力への取り組みの歴史的ルーツをリビューしたのに続いて、本年度は、1990年に開催された「万人のための教育世界会議」以降再び本格化するわが国の国際教育協力事業について、文部科学省の推進してきた関連政策の立案過程と各種の国際教育協力の支援事業について、全体像を整理する活動を行った。とりわけ、文部科学省が地方教育委員会や国際協力機構(JICA)との連携の下に推進してきた、青年海外協力隊「現職教員特別参加制度」による現場教員の開発途上国への派遣事業について焦点をあて、制度発足の経緯、制度設計、制度運用状況、帰国教員の社会貢献活動等について調査する活動を行った。また、開発途上国側における教育開発、教育改革の現状と動向をさぐるために、主として、ラテンアメリカ地域の教育状況、とりわけ教育の質の向上を目指す教育政策の動向について分析を行なった。いずれも、わが国の国際教育協力事業の現状を整理し、またその将来像とより良い戦略を構想するための基礎となる資料を作成するものであり、意義あるものであると考える。
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