本研究の目的は、美術館施設と学校教育の連携による教育プランの開発を通して両者の教育機能を実践的に検証し、関係者の人的交流や教育資源の共有化が地域社会の文化環境形成とその向上に及ぼす影響を分析することである。平成22年度は前年度までの研究・調査の成果を総括しつつ、高等教育における美術館教育(Museum Studies)の内容を調査し、以下のような成果を得た。 1.美術館施設と大学との連携の波及効果として、学校と美術館の多様な連携事業が展開していることを確認できた。本学大学院生(現職学校教員)と釧路美術館の共同による鑑賞授業、デジタルフォトフレームを活用した美術館展示とデータの共有など、美術館と大学の共同研究体制を中心に、学校や学生など関係者の連携による多様な教育プランや事業が拡大していることを確認できた。 2.研究代表者及び釧路市立美術館学芸員(角井千代絵)よる調査チームを編成し、英国のレスター大学のMuseum Studiesにおけるカリキュラム調査、レスター、ロンドンの美術館・博物館、アートギャラリーにおける教育普及活動の資料収集を行った。レスター大学では、School of Museum Studie8のVivien Golding博士に面会し、これまでの連携活動や研究のレビューを受けると共に、さらに同大のカリキュラム構成と教育内容についての詳細な説明を受けた。前年度までの連携事業の妥当性を確認すると同時に、美術館教育担当者の資質形成、教育プログラム開発、地域、・学校連携についての知見を得た。 3.これまでの連携及び実践の成果を学芸員とともに北海道芸術学会(第15回例会)において発表した。また、イギリスの美術館教育に関するポスター展を開催した。
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