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本研究は、北東北の戦前生活綴方教育実践が戦後社会科実践の史的背景にあったという前提から、特に戦前・戦後の実践者の歩みに着目し、北東北という「地域の教育実践史」という角度から、「社会科前史」にあった戦前の生活綴方教育実践の実像を探り、あわせて彼ら個々の教師の内面に蓄積された理論を解明することを目指したものである。研究の最終年度、3年目の本年度は、昨年度に引き続き、「戦前」の生活綴方実践に着目しつつ、あわせて戦後にも着目し、資料収集・調査等の作業を行なった。第一に、文献による基礎研究である。戸田金一らの先行諸研究の検討とあわせ、主に以下の各実践者の実践の足跡と実際について、同時代及び後時代の著書・雑誌論文等を中心に講読し、基礎的事実を整理しつつその特質を分析検討することに努めた。(1)青森:橋本誠一、嶋祐三、ほか。(2)秋田:鈴木正之、花岡泰雲、ほか。(3)岩手:永井庄蔵、吉田六太郎、菅原恭正、ほか。第二に、戦前・戦後の生活綴方教育実践に関する未発掘資料の収集・分析検討である。北東北3県内・東北6県の各地域における実地調査、特に秋田大学附属図書館内「北方教育資料室」や山形県国民教育研究所資料室のほか、図書館関係者等の協力をいただきながら、未検討の第一次史資料(地方教育雑誌記事、同人誌、学級文集、等)の探索・収集を行った。その上で、その一部(北東北3県とあわせて、特に山形)について資料の分析・検討を実証的に行った。その成果の一端(および関連文献目録の作成・公表)は、学会発表(後掲)において明らかにした(公表を行なった)。第三に、嶋祐三氏(青森)、千葉努氏(岩手)への、戦後生活綴方・北方性教育運動に関する聞き取り調査を行なった(千葉氏への聞き取り調査の公表は、後掲の報告書)。戦前・戦後の生活綴方教育実践に関する聞き取り調査の成果にづいては、その整理.分析を行った上で、次年度以降成果公表を行う予定である。
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