本研究は、平成17年度から平成19年度まで3カ年間にわたって行った科学研究費補助金に基づく研究「我が国における児童中心主義(創造主義)の美術教育に関する研究-創造美育運動を中心に-」(課題番号17530634)の成果をもとに、我が国における児童中心主義(創造主義)の美術教育の実態及び戦後美術教育に与えた影響について、さらに詳細に明らかしようとするものである。 2年次に当たる平成21年度は、以下の課題について調査研究を進めるとともに、施設設備の改善を図った。 (1)県や地域、個人レベルにおける創造美育運動の実態に関する調査 福井県における創造美育運動(福井創美)において指導的な役割を果たした木水育男指導による子どもの絵の展覧会が地元福井をはじめ、京都市、東京都で開催され、50数年前の子どもの絵を直接観察することができた。それにより、文献等の間接的な調査では困難な学校教育現場における創造美育運動の一端を明らかにすることができた。創造美育運動が活発に展開された地域や運動に積極的に関わった個人等に対する調査については、さらに範囲を広げて行う必要がある。 (2)同時代の教育や社会との関連に関する調査 1950年代を中心とする学校教育や社会の状況、他の民間美術教育団体の動向等に関する文献を中心とする資料の収集を行った。今後それらの資料の分析を進め、創造美育運動興隆の背景を明らかにする必要がある。 (3)平成21年度における研究成果の学会等での口頭発表及び学術雑誌等での公開 今年度の研究成果は、研究代表者が主宰する研究会及び講演会等での研究発表、研究会発行の年報及び教育雑誌への論文等の投稿により公開した。
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