平成22年度は、小松市立第一小学校を中心に算数授業研究を引き続き実施した。21年度実施した算数シナリオを用いた授業を行うとともに、それを発展させた授業記録を活用した話し合い指導を4年生と6年生に実施した。成果としては以下の点があげられる。 1)4年生に行った算数シナリオを活用した3段階の話し合い指導の実践をもとに、「算数科における話し合いの指導に関する研究」をまとめ、査読付学術雑誌である日本数学教育学会誌に採録された。 2)21年度の話し合い指導を踏まえて、2年目の話し合い指導のプログラムを開発した。これは授業記録を活用するもので、実際の授業を行った直後に、その授業のビデオをみせてから教師が加筆修正した授業記録とオリジナルな授業記録を与え、児童が自分たちの話し合いの仕方を振り返り、達成している点と改善点を見出させるものである。この話し合い指導は児童の話し合いの質を向上させるのに効果的であった。また授業記録を活用した話し合い指導を受けた児童の中には、自ら授業を振り返り、理想的な授業シナリオを作成できるようになった。 3)6年生を対象に既習の内容で、授業シナリオを作らせ、児童自身が理想とする授業像を具体化させる話し合い活動は、児童が主体的に取り組む授業づくりに効果的であった。 4)21年度の研究成果を「伝え合い学び合う足場のある算数授業」(明治図書)として、22年度の研究成果を「読み取り表す力を育てる足場のある算数授業」(明治図書)として出版した。
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