研究課題/領域番号 |
20530806
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
石田 淳一 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (70144186)
|
キーワード | 考える足場 / 学び合い / グループ学習 / 算数科 |
研究概要 |
平成23年度は、小松市立苗代小学校と大井町立大井小学校を中心に算数授業研究を「伝え合い学び合う算数授業」に焦点をあて実施した。その具体的内容は以下の通りである。 1子どもがつくる足場の授業の実践 算数研究1年目の苗代小学校、算数研究3年目の大井小学校ともに、単元計画の中で、与える足場の授業とつくる足場の授業、任せる足場の授業を組み合わせて指導することができた。1年目から3つのタイプの足場の授業が展開できることが分かった。 2話し合い指導プログラムの検証 つくる足場では子どもが話し合い、解法の見通しをつくる過程に参加し、見通しをクラス全体で共有する活動が重要である。そのためにも話し合いの指導を1学期当初から実施し、開発した3段階の話し合い指導のプログラムの有効性を確かめた。 3協同学習を取り入れた算数授業設計 学び合う算数授業の授業モデルとして、協同学習(全体学習やグループ学習)により新しい知識を獲得し、獲得した知識を活用する個人学習を行い、学びを振り返るという授業展開モデルを作成し、このモデルの授業を実施した。グループ学習の進め方やルールを教えることで、グループ学習が児童の学び合いを促進できる事例を収集できた。 423年度の授業研究のテーマである「学び合う算数授業づくり」に関する出版原稿の作成 苗代小学校での実践をもとに「学び合う算数授業づくり」に関する出版原稿を作成でき、24年度中に公刊予定である。また、23年度の足場のある算数授業や話し合い指導の事例は、「楽しい算数授業」(明治図書)の23年4月号から24年3月号まで1年間にわたり連載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
20年度から継続的に小松市立第一小学校で3年間、足場のある算数授業を実施し、21年度からは話し合い指導も行うことで、22年度は6学年で子どもが学び合う算数授業を実現できた。第一小学校での算数研究の成果をもとに23年度は小松市立苗代小学校で1年目から話し合い指導と子どもがつくる足場の授業を実践し、学び合いのある算数授業づくりに取り組み、方策についてまとめることができた。22年度と23年度の成果を24年度中に2冊の本にまとめ、出版予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
20年度から23年度までの授業研究を通して、協同学習の質を高めることが学び合う授業づくりに必要なことが見出された。そこで、24年度は協同学習の質を高める指導プログラムの開発、協同学習の取り入れ方の検討を行い、質の高い算数授業の創造を目指したいと考えている。また、話すことに比べて、聴くこと、書くことの指導が不十分であったので、これも研究の柱の1つとしたい。
|