本研究は、近年イタリアの一般教育において活発化する「舞台表現(テアートロ)教育活動」ついて調査し、そこからわが国の表現教育、特に音楽表現のあり方を再考することを目的とする。平成21年度は下記の通り、2回の現地調査・視察を遂行した。 ○第1回(平成21年5月16日~26日) ・ミラノ県第60学区(ヴィメルカーテ市他)で活動する文化協会<少年たちの舞台>から招待を受け、同協会主催の第22回大会に参加。子どもたちの舞台表現の実際を観察し、関係者らと意見交換を行った。 ・同第60学区の小学校2校、中学校1校にて舞台表現教育の授業を参観し、教師たちと交流を図った。 ○第2回(平成21年10月24日~11月4日) ・教員養成課程を有するサクロ・クオーレ・カトリック大学ミラノ校のマスターコース<舞台表現性による創造性と人間的成長>において講義を行い、参加した学生および学校教師らと日伊の表現教育について討議し、理解を深めた。(10月31日) ・ロンバルディア州教育研究所のディ・ラーゴ研究員から最近のイタリアの教育事情について情報提供を得るとともに、今後日伊相互の比較研究を進めていくことについて合意した。 ・ミラノ県第60学区のコンコレッツォ市小学校とオレーノ市中学校の表現教育活動を視察した。オレーノ市中学校では日本の学校生活や音楽授業の実際について紹介し、生徒・教師らと討議をすすめた。 今年度の調査では、学校、自治体、文化振興協会が連携して無台表現教育プロジェクトを推進している現状を把握することができた。また指導法の面では、情動・身体・場の連関性について示唆を得、その内容を神奈川県小学校教員の講習会で活用した。
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