本研究は、近年イタリアの一般教育において活発化する「舞台表現(テアートロ)教育活動」について調査し、そこからわが国の表現教育、特に音楽表現のあり方を再考することを目的とする。平成22年度は下記の通り研究の進展を図った。 <現地視察・調査および研究交流>(平成23年3月3日~21日) ・教員養成課程を有するサクロ・クオーレ・カトリック大学ミラノ校教育科学部マスターコース<語りとテアートロ(舞台)表現相互による教育方法の実践>の講師として講義を行った(3月5日)。 ・国立ミラノ大学・ピコッカの教育科学部においてE.フェッラーリ講師の「音楽と音楽教育」の授業を視察し、同講師と情報交換を行った(3月8・9日)。 ・国立ミラノ大学・ピコッカの教育科学部において開催されたセミナーで、日本の学校における表現教育の実践、日本の教員養成カリキュラムについて発表し、参加者と討議を行った(3月14日)。 ・ロンバルディア州教育研究所において同州が推進する<プロジェクト音楽・2020>について調査し、今後日本との比較研究を進めていくことについて合意した(3月16日)。 ・イタリア音楽教育協会ミラノ支部長で、『音楽テアートロ』の著者であるP.ボーヴェ氏と研究課題を通して討議を深めた。 ・オレーノ市ドン・ゼノ中学校、コモ市聖エリア小学校を訪問、表現活動の実践を視察した(3月7・15日)。 今年度は、これまで調査してきたイタリアのテアートロ教育活動についてさらに音楽分野に限定し、研究の進展を図った。現地大学等で授業やセミナーを通して、学校教育関係者や研究者らと情報交換を促進させ、今後の共同研究に向けて指針を得た。また本研究は、わが国の音楽科教育指導理念との関連からも考察を深め、成果を上げることができた。
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