研究概要 |
本研究は,読み書きの初期学習に困難を示す子どもを対象として,個人特性としての発達や学習の状態を把握するとともに,子どもが置かれている学習環境を評価することを通して,その環境に応じた学習支援方法を開発することを目的としている。そこで平成20年度は,まず初期の読み書きに関する従来の研究成果をレビューし,支援方法の開発における検討課題を整理した。この成果は平成21年度中に論文としてまとめ,公表する予定である。さらに,そこで示された検討課題に関連する小学校における現在の支援状況を把握するために,新潟県の上越地域において1年生及び2年生の通常の学級を担任している全教師337名を対象として,「書き」を中心としたアンケート調査を実施した。その結果から,1年生では4.47%,2年生では5.37%の児童に対して,担任教師は書字に関する特別な学習支援が必要であると感じていることが明らかとなった。しかしながら,保護者からの支援の申し出はそのうちの30%台に留まっていた。また,日常の授業の中で,具体的な支援の方法を見出すことができず,それらの情報を求めている教師が多数存在していた。これらのことから,担任教師が適切に子どもの特性を把握し,しかも授業の中で日常的に実施できる支援方法の開発が求められていることが確認された。そこで,平成21年度以降は,このような支援方法の開発に向けた評価方法を試作し,臨床的に検証作業を進めていく。なお,この調査に関する成果は,平成21年度内に開催される国内の学会において公表するとともに,研究代表者が開設しているホームページにおいても公表する予定である。
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