研究概要 |
本研究は,読み書きの初期学習に困難を示す子どもを主たる対象として,個人特性としての発達や学習の状態,及び学習が実際に行われている場面特性を考慮した評価・支援方法を開発することを目的としている。 そこで,平成21年度は,まず平成20年度より実施してきた書字のメカニズムや発達に関する文献及び図書の収集を継続して行い,書字学習支援において参考にできる研究内容の整理を進めた。また,研究成果公表の一環として,平成20年度に実施した調査研究の一部の結果を,第47回日本特殊教育学会においてポスター発表により公表した。合わせて,同学会において研究動向に関する資料の収集も行った。さらに,調査結果の一部を大学の研究紀要に論文として投稿した。 一方,文字学習の初期段階における包括的な評価・支援方法の試作に向け,研究代表者が所属する大学の特別支援教育実践研究センター及び市内小学校において,実際の文字学習支援場面における子どもの学習の変化を継続的に観察・記録した。特に,文字表記に係わる認知機能(読みの状態,視写,聴写,書字結果の自己評価の状態等),運筆機能(筆記用具の把握形態,筆圧,筆速,筆順,手指の巧緻性等),動機づけ(書字学習に対する内発的動機づけ)の状態を中心に,学習環境(学校や家庭等における学習機会と学習の様子)の観点も踏まえながら学習過程を実践的に検討した。これらの研究成果を踏まえつつ,平成22年度においては,さらに臨床的な検討作業を進め,最終的には文字学習の初期にある子どもの発達特性に応じた包括的な支援方法の提案を行う予定である。
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