平成21年度では、ドイツの初等・前期中等経済教育における学力像を明らかにすべく、諸州の職業準備系教科と公民系教科のレアプランなどから同国での経済教育の基本動向を把握した上で、ドイツ経済教育学会(DEGOB)が開発した教育スタンダード(Bildungsstandards)を取りあげ、その分析を行った。 この分析の結果を全国社会科教育学会第58回全国研究大会(2009年10月10日、於弘前大学)において発表した。また、「ドイツにおける経済教育の動向-ドイツ経済教育学会版教育スタンダードに焦点化して-」としてまとめ、『山梨大学教育人間科学部紀要』第11巻(2010年3月)に寄稿した。 ドイツ経済教育学会版教育スタンダードは、初等中等経済教育に一貫する5つのコンピテンス領域からなっている。それは経済教育において育成しなければならないコンピテンスを5領域の関連性と各領域の段階性に基づく関連的段階的構造としてとらえるものであり、経済生活・経済社会形成力の育成を提起していると解される。 さらに、平成21年度では、ドイツの後期中等教育段階における社会系教科の学力像を明らかにするための準備を行う意味もあり、ザクセン州の場合を事例とし、職業ギムナジウムにおける歴公統合教科Geschichte/Gemeinschaftskundeのカリキュラム改革を取りあげ、分析を行った。その分析結果を社会系教科教育学会第21回研究発表大会(2010年2月21日、於兵庫教育大学)において発表した。平成22年度にはこの発表の内容の論文化も目指したい。
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