平成24年度においては、ドイツの後期中等公民的教科目における学力像を明らかにするため、GPJE(政治教育学及び青少年・成人政治教育のための学会)によって作成された政治教育(Politische Bildung)の教育スタンダードの構成と諸州のギムナジウム上級段階における公民的教科目教育の基本動向の把握、及び、現地での聞き取りと資料収集を踏まえ、KMK(各州文部大臣会議)によるゾチアルクンデ/政治のEPA(アビトゥーア試験における統一的試験基準)の分析を行った。 KMKによるゾチアルクンデ/政治のEPAについては、1989年版と2005年版の新旧のEPAを取り上げた。新旧各々のEPAがねらう試験課題の構成を具体的な課題例に即して分析比較し、一貫していることと変化していることを掴み、課題構成の変化の論理や理由を検討することにより、「デモクラシー能力」の育成に向けて公民的教科目における学力像の射程が拡大されようとしていることを明らかにした。これらの成果に基づき、近年のドイツ後期中等公民的教科目における学力像について日本社会科教育学会第62回全国研究大会(2012年9月29日、於東京学芸大学)において発表し(「ドイツ後期中等公民的教科目の学力像-EPA(ゾチアルクンデ/政治)を手がかりとして-」)、また、「ドイツにおける後期中等公民的教科目の学力像-新旧のEPAに着目して-」(『山梨大学教育人間科学部紀要』第14巻、2013年、pp.131-143)としてまとめた。 また、これらに加え、平成24年度においては、歴史科のEPAの分析によってドイツの歴史学力像を明らかにしようとした前年度の研究成果を検討し、論文作成に取り組んだ(「ドイツの後期中等歴史教育における学力像-EPAを手がかりとして-」)。 。
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