研究概要 |
本研究は,日本の法化社会の進展に伴う現代の教育の課題に応えるために,市民のための法教育のあり方を考える基礎的研究である。 本研究は,市民の法的参加に必要な意識・能力の育成を目指した法教育の理論と実践を多面的に分析し,日本の小・中学校の法教育のカリキュラムを構想するために必要な視点を提出することを目的としている。その際,アメリカにおいて研究・実践が進められている「法教育」(Law-Related Education)を先行モデルとして,取り上げる。 本年度は,法教育,司法教育,合衆国憲法に関する基礎的資料の分析を行い,アメリカの小・中学校の法教育の実態に照らしてそれらを検討し,法的参加の意識・能力の育成を目指した日本の小・中学校の法教育の授業モデルを構想した。本年度の研究の成果は,具体的には,以下の通りである。 (1)アメリカの州社会科フレームワーク,カリキュラム,教科書,教材,学習指導案の分析 いくつかの州のフレームワークや関連財団・団体の開発したカリキュラムを調査し,その中に法教育についてどのような内容構成で学習形態が位置づけられているか分析した。小・中学校の法教育の学習指導案を検討し,市民の法的参加に必要な意識・能力を育成するための学習方法や活動を分析した。 (2)専門家からの意見聴取・情報収集(追跡調査) 収集した資料の分析及び集録した授業の分析結果について,アラバマ州の法教育および司法教育研究の専門家に意見を求めた。同時に,資料の追加収集を行ない,分析結果の精緻化を図った。 (3)小・中学校における法教育の授業モデルの構想 これまでに得られた知見に基づき,法的参加の意識・能力の育成を目指した小・中学校における法教育の授業モデルを構想した。
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