本研究では、国語科の説明的文章授業で身に付けるべき読解力とともに、国語科以外の他教科の教科書等に掲載されている説明的文章テクストを読むことに必要な読解力を明らかにし、それらを連携・関連させて効果的に学ばせる実践プログラムを開発することを目的とする。本年度は、国語科の説明的文章テクストならびに算数科教科書掲載の説明的文章テクストの分析を行うことによって、多様な説明的文章テクストを読むことに必要な読解力について実践的な見地から検討するとともに、実践プログラムを開発するための基礎的な知見を得ることを目的とした。具体的には、算数科教科書における説明的文章の特徴を明らかにすることによって、説明的文章の読解力、論理的思考力・表現力等を教科を超えたより広い枠組みで育成するための観点を得ようとした。以下の点が明らかになった。 ○算数科教科書に見られる疑問文は、国語科説明的文章における問いの文(問題提示文)に比べ、一つのことを直接的な言い方で問うものが多い。 ○算数科教科書には規約文(定義する文)や参照文が多く、これらの表現は国語科説明的文章の中でもいくらかカバーできるが、量的には必ずしも多くはない。算数科での意図的な指導が望まれる。 ○算数科における推理に関する表現例には、仮定、想定型のものが多い。前提条件をイメージし確かに捉え、結果との整合性を図って考えられる力を説明的文章の読みにも生かすことが可能である。 ○算数科教科書では、テクストがいくつもに細分化されて示されている。これら分割されているテクストを一連のものとして理解し、説明できることが重要である。 ○センテンス単位の特徴として検討した疑問文、定義文等の表現そのものの理解、活用を国語科、算数科両方で共通的に図ることが必要である。
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