本年度は国語科の説明的文章テクストならびに理科教科書掲載の説明的文章テクストの分析を行うことによって、多様な説明的文章を読むことに必要な読解力について実践的な見地から検討するとともに、実践プログラムを開発するための基礎的な知見を得ることを目的とした。理科教科書のテクスト分析と学習指導への示唆については、以下の点が明らかになった。 ・実験(観察)結果等からわかったことを解説した「学習のまとめ」、内容と関連した「読み物資料」や「発展学習」等、国語科説明的文章に通じるひとまとまりのテクスト群(宣言的説明文)と、実験(観察)の「手順説明」「注意事項」等のテクスト群(手続き的説明文)とが混在しており、それぞれのテクストに対応した読み方が要求される。 ・宣言的説明文である「学習のまとめ」(習得すべき知識内容)のテクストでは、少ない文章量の中にも「理由(因果関係)」「比較」「定義」等の論理的思考力に培う表現が認められ、国語科説明的文章の学習との相乗効果が期待できる。 ・習得すべき知識内容の説明や実験・観察の仕方(手順)を説明する場合に非連続型テキストがあわせて用いられている。したがって絵図だけでまず説明を書き、後に実際のテクストと比較して検討する、本文テクストの手順説明を再構成して表現する等、非連続型テキストとそれに関連したテクスト双方をつなげて理解する学習活動を理科、国語科双方で開発することが重要である。 ・宣言的説明文、手続き的説明文のいずれにも批判的に読むことが好ましいテクストが認められた。情報内容の必然性、関連性等、理由(因果関係)の記述の不十分さ、情報量や認識する観点の過不足等について批判的に読むことが、国語科、理科双方で指導可能である。
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